ジンの名作カクテル「ネグローニ」のウイスキー版が、ブールヴァルディエです。ウイスキー、カンパリ、スイートベルモットを合わせた、ほろ苦く複雑な大人の一杯。甘いカクテルに飽きた人、苦味の魅力を知りたい人に向けた、ウイスキーカクテルの奥座敷を解説します。

01 カンパリという苦味の主役

この一杯の個性を決めるのが、カンパリです。イタリア生まれの鮮やかな赤いリキュールで、ハーブと柑橘由来の強い苦味が特徴。単体では飲みにくいほど苦いこの酒が、ウイスキーとベルモットと合わさると、絶妙な複雑さに昇華する——「苦味は大人の味」を体現する材料です。ネグローニ人気とともにカンパリは世界的に定番化し、ブールヴァルディエもその流れで再評価されました。一本あればネグローニもブールヴァルディエも作れるので、苦味系カクテルに興味があれば揃える価値があります。

02 ネグローニとの関係

名前の由来も洒落ています。「ブールヴァルディエ」は1920年代パリの同名の雑誌にちなむとされ、当時パリに集ったアメリカ人が愛したカクテルと伝わります(諸説あり)。ジンのネグローニがキリッと辛口・爽やかなのに対し、ウイスキーのブールヴァルディエは、香ばしく甘く、より温かみのある味わい。同じ配合で、ベースを変えるだけで性格が変わる——カクテルにおける「ベースの重要性」を教えてくれる好例です。ネグローニが好きな人が次に試すべき、ウイスキー版の兄弟分です。

03 楽しみ方

ブールヴァルディエは、食前酒(アペリティフ)や、じっくり味わう夜の一杯に最適です。カンパリの苦味は食欲を刺激するので、食事の前に。甘いカクテルに物足りなくなった人、苦味の奥深さを知りたい人には、これ以上ない入口です。ウイスキーはバーボンだと甘く親しみやすく、ライだとよりドライで複雑に。氷でゆっくり薄まるほどに、角が取れてまろやかになる変化も楽しめる。甘さから苦味へ——ウイスキーカクテルの世界を一段深く進む、大人のための一杯です。