スコッチが英・仏・日の巨人に支えられるように、アメリカンウイスキーにも大手企業があります。ジャックダニエルを擁するブラウンフォーマン、バッファロートレースを持つサゼラック——アメリカの銘酒を支える二大企業の全体像を解説します。バーボンとテネシーの世界の、資本の地図です。
01 ブラウンフォーマン — ジャックダニエルの帝国
ブラウンフォーマンは、19世紀創業のアメリカの老舗酒類企業です。看板は、世界一売れるアメリカンウイスキー、ジャックダニエル(専用記事)。テネシーウイスキーのこの巨大ブランドを核に、バーボンのウッドフォードリザーブ、オールドフォレスターなどを擁する。さらに、スコッチのグレンドロナック(専用記事)、ベンリアック、グレングラッサなど、近年はスコッチモルトも傘下に加えた。アメリカ発でありながら、スコッチにも進出——アメリカンウイスキーの雄が、グローバルに展開する構図です。同族経営を長く保つ点でも知られます。
02 アメリカ勢の特徴
アメリカンウイスキーの企業には、スコッチ系とは違う特徴があります。①同族経営の伝統——ブラウンフォーマンやビーム家(専用記事)など、創業家が長く関わる。②バーボンの本場としての誇り——ケンタッキーやテネシーの土地に根ざす。③そして近年は、サントリーによるビーム買収(専用記事)のように、グローバル資本の再編も進む。アメリカンウイスキーは、世界的なバーボンブームで価値が高騰し、企業の存在感も増している。パピーのような幻の銘柄(専用記事)を生む土壌も、これらの企業の中にある。アメリカの銘酒の背後には、独自の企業文化があるのです。
03 アメリカの地図として
ブラウンフォーマンとサゼラックを知ると、アメリカンウイスキーの棚が読めてきます。ジャックダニエルの背後にブラウンフォーマン、バッファロートレース系の名品の背後にサゼラック——一見バラバラなブランドが、企業でつながっている(バッファロートレースの銘柄地図・専用記事)。ビームサントリー(ジムビーム・メーカーズマーク)、ワイルドターキー(CT系)、フォアローゼズ(キリン)と合わせると、アメリカンウイスキーの資本地図が完成する。どの企業の酒かで味の優劣は決まりませんが、構造を知ることは、この豊かなアメリカの酒の世界を理解する助けになります。