「あの評論家が絶賛」「専門誌で高評価」——ウイスキーの評価は、誰が、どう作っているのでしょうか。ウイスキーバイブル、専門誌、評論家、そして無数のブロガーやSNS。評価を作るメディアの世界を知り、その情報と賢く付き合う方法を解説します。評価に振り回されないための、メディアリテラシーです。

01 ウイスキーバイブルという存在

ウイスキー評価で最も有名なのが、『ウイスキーバイブル』です。評論家ジム・マーレイが毎年出版するこの年鑑は、数千種のウイスキーを点数評価する。2015年に山崎のシェリーカスクを「世界一」に選び、世界的な話題を呼んだ(専用記事)。一人の評論家の評価が、市場を動かすほどの影響力を持つ——これはウイスキーメディアの力を象徴する。しかし同時に、「一人の主観がここまで市場を左右していいのか」という議論も生んだ。ウイスキーバイブルは、メディアの影響力の大きさと、その危うさの両方を体現する存在なのです。

02 評価との賢い付き合い方

メディアの評価と賢く付き合うコツがあります。①複数の情報源を照らす——一つの評価を鵜呑みにしない。②評価の立場を知る——評論家の好み、メディアの傾向を踏まえる。③主観であることを忘れない——味の評価は最終的に主観(テイスティングは主観・専用記事)。④点数より記述を読む——「92点」より「どんな味か」の説明が有用。⑤最後は自分の舌——評価はあくまで参考、判断は自分で。高評価だから買う、ではなく、評価を候補選びの一助にして、自分の好み(専用記事の診断)と照らす。メディアは道具であって、主人ではないのです。

03 情報の海を泳ぐ

現代は、ウイスキー情報が溢れる時代です。評論家の点数、専門誌の記事、SNSの口コミ、無数のブログ——情報は多いほど、見極める力が要る。大切なのは、情報に振り回されず、自分の軸を持つこと。評価を参考にしつつ、最終的には自分の舌と好みを信じる。「世界一」と言われた酒が自分に合わないことも、無冠の酒が自分の最愛の一本になることもある。メディアの評価は、広い選択肢を探る地図として使い、目的地は自分で決める。情報の海を賢く泳ぐことが、この趣味を主体的に楽しむ鍵。あなたの一番の評論家は、あなた自身の舌です。